β-リポ蛋白分画, β-lipoprotein fractionation
測定法:ヘパリンCa沈殿法
外注会社:SBS(旧住友)
臨床的意義
ヒト血清中の主なリポ蛋白には、高比重リポ蛋白(HDL)、低比重リポ蛋白(LDL)、超低比重リポ蛋白(VLDL)、カイロミクロン(CM)などがあるが、その中でHDL以外のものをβ-リポ蛋白と呼ぶ。VLDLは肝で生成されたあと、血中リポ蛋白リパーゼ(LDL)の作用を受けて、LDL等に変化する。またカイロミクロンは小腸で生成され胸管リンパを経て血中に入る。リポ蛋白濃度の日内変動をみるとLDLやVLDLはあまり変化しないが、CMは中性脂肪を多く含むため食後から数時間にかけて高値を示す。一方、年齢別では加齢によりLDLやVLDLは高値を示し、女性は閉経後高値となる。リポ蛋白分画は、高脂血の分類や病態の判別に有用な検査である。
異常値を示す疾患
高値疾患
LDL: 家族性高コレステロール血症(IIa型高リポ蛋白血症)、家族性複合型高脂血症(IIb型高リポ蛋白血症)、甲状腺機能低下症、ネフローゼ症候群
VLDL: 家族性高トリグリセライド血症(IV型高リポ蛋白血症、カイロミクロンも増加の場合はV型)、家族性複合型高脂血症(IIb型高リポ蛋血症)、III型高リポ蛋白血症(アポ蛋白E欠損症またはE2/2血症)、糖尿病、ネフローゼ症候群、末端肥大症
カイロミクロン: I型高リポ蛋白血症(PL欠損症、アポ蛋白C-II欠損症など)、V型高リポ蛋白血症、特発性高カイロミクロン血症、高脂肪食摂取後など
低値疾患
LDL: 無βリポ蛋白血症、低βリポ蛋白血症、甲状腺機能亢進症、肝硬変
VLDL: 無βリポ蛋白血症、低βリポ蛋白血症
カイロミクロン: 無βリポ蛋白血症、脂肪吸収不良症候群、アポB-48単独欠損症
基準値
LDL(mg/dl) | VLDL(mg/dl) | |||
男性 | 女性 | 男性 | 女性 | |
20〜29歳 | 168〜382 | 153〜333 | 98以下 | 64以下 |
30〜39歳 | 171〜469 | 137〜417 | 94以下 | 100以下 |
40〜49歳 | 188〜488 | 133〜533 | 137以下 | 94以下 |
50歳以上 | 176〜460 | 196〜628 | 122以下 | 185以下 |
採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管
関連項目
HDL−コレステロール
LDL−コレステロール
アポリポタンパク
総コレステロール(TCHO)
β−リポ蛋白
LCAT