総胆汁酸, TBA ( total bile acid )


臨床的意義
 
胆汁酸は肝細胞において特異的にコレステロールより生成され、胆汁中に排泄される。胆汁酸はきわめて閉鎖的な腸肝循環を行っているので、この腸肝循環に関係する臓器の病変で上昇したり、低下したりする。食後に上昇するので、食事の有無を確認する必要がある。
劇症肝炎、急性肝炎初期、肝外閉塞性黄疸、非代償性肝硬変のとき高値を示す例が多い。代償性肝硬変、原発性肝癌では中等度である。しかし、その血中上昇値は、各疾患において重なりあっているので、早朝空腹時1回測定値のみでは鑑別診断は難しい。

測定方法: 酵素法

測定原理
 
胆汁酸は、3α-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナ-ゼ(3α-HSD)及びβ-チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド酸化型(Thio-NAD)により特異的に酸化され、3-ケトステロイド及びβ-チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド還元型(Thio-NADH)を生じる。さらに生成した3-ケトスレロイドは3αHSD及びβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド還元型(NADH)の存在下で胆汁酸及びβ-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド酸化型(NAD)を生成する。この様に補酵素をサイクリングさせることで、微量の胆汁酸量を増幅させ、生成したThio-NADHの吸光度変化を測定して胆汁酸値を求める。

測定機器: 日本電子BM1650(平成18年7月18日より)

        日立7170自動分析装置(平成18年7月14日まで)

測定試薬: 第一化学

相関
平成18年7月18日
X=旧機器
Y=新機器
Y=1.08X-0.28 r=0.995  n=200

基準範囲: 10 μmoL/L 未満

採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管

関連項目
  
総コレステロール(TCHO)
トリグリセライド(TG)
AST(GOT)
ALT(GPT)
ALP
LAP

参考文献
1) 田中直見、他 : 日本臨床、598(増刊号):521-524 (1989)
2) 藤原啓子 : 臨床病理、37、10:1114-1121 (1989) 

先頭に戻る    前ページに戻る