教授挨拶
ごあいさつ
2022年11月より、阿部康二前教授の後任として着任いたしました石浦と申します。阿部先生の在任23年間の間に大きな発展を遂げた当教室をさらに発展させることができるよう努めたいと思います。
脳神経内科で対象とする疾患としましては、脳血管障害(脳卒中)、認知症、頭痛、てんかん、しびれのような頻度の高い疾患から、やや稀ではあるものの脳神経内科でしか診ることのない筋萎縮性側索硬化症、パーキンソン病・パーキンソン症候群、脊髄小脳変性症などの神経変性疾患や多発性硬化症、視神経脊髄炎、重症筋無力症といった神経免疫疾患が含まれます。経過も異なれば症状も大きく異なる患者さんに対して、正確な診断と、現時点での最適な医療を提供することにより、岡山県はもとより中四国から世界へ向けて貢献することを目指し教室員一同邁進して参ります。
脳神経内科疾患は治りづらいと思われている節がどうしてもございますが、私が医師になった約20年前と比較しますと、疾患の理解、治療方法の開発については格段の進歩を見せております。現在でも、幹細胞療法、抗体療法、核酸医療、酵素補充療法といった、20年前には夢であったような治療が治験として数多く検討される時代になり、実用化に至ったものも少なくありません。当教室における研究に端を発し、世界に先駆けて実用化に成功した治療薬の例がありますので、次に続くことができるよう検討を重ねて参ります。
様々な治療法が実用化される時代において大切なのは、疾患の本質を見極めて、正しく標的を定めることであろうと思います。未だ治療薬が実用化に至っていない疾患については、まだ見ぬ理由があるに違いがありません。基礎研究を推進するのみならず、臨床的な視点から、時には多くの患者さんを診ることによって、時には少数の患者さんをじっくりと診ることによって、ブレイクスルーが起こる可能性があります。そのような観点から、臨床も研究も深く理解し、時代に合った新たな課題にチャレンジできるような医師の育成を目標とし、現在のメンバーと、将来仲間になってくれるメンバーとで、新しいことを成し遂げられる教室を作っていきたいと考えております。
どうかご支援の程、よろしくお願い申し上げます。
令和4年11月
岡山大学学術研究院医歯薬学域
脳神経内科学
教授 石浦浩之