国立大学法人 岡山大学

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岡山大学病院第35回小児医療センター合同カンファレンスを開催~出生前コホートの意義と立ち上げの可能性やデータベース構築・運用の実際~

2019年02月04日

 2012年9月に設置された岡山大学病院小児医療センターでは、先進的で総合的な小児医療の提供を目指し、0歳から成人までの成育医療として、内科系・外科系に留まらずこころの診療まで、非常に幅広い領域を対象としています。今回、同センターと本学次世代研究育成グループのひとつである「中四国出生前コホート立ち上げワーキンググループ」(以下、WG)は、出生前コホートの意義と立ち上げ可能性などについて事例紹介と共に広く議論する場として「第35回小児医療センター合同カンファレンス」を1月23日、本学鹿田キャンパスにて開催しました。
 妊娠中や出産までの情報や、出生後の児の情報は存在しますが、妊娠中の母体の情報と出生後の児の情報が連結しているデータはあまりありません。そのため、妊娠中のさまざまな環境要因が、その後の児の健康・成長・発達にどのような影響を与えるのかを検証するのは困難です。そのような状況を打開するために、妊娠中のデータを産科医院や病院産科などで収集し、その後の児を追跡する「出生前コホート」が極めて重要となっています。
 今回のカンファレンスは、本学大学院医歯薬学総合研究科(医学系)小児医科学分野の塚原宏一教授の司会のもと開催され、はじめにWGの研究代表者を務める大学院環境生命科学研究科(環境理工学系)人間生態学講座の頼藤貴志准教授が「出生前コホートの意義と立ち上げ可能性について」と題して講演。出生前コホートの必要性や今後の展望、期待される成果について紹介しました。
 続いて、静岡県唯一の産婦人科専門病院であり、静岡県浜松市内において産科データベースを実際に構築・運用している医療法人社団明徳会かば記念病院の成瀬寛夫院長が「データベース構築・運用の実際」と題して講演。産科医院におけるデータベース構築・運用の実際について事例をもとに詳細な紹介がありました。カンファレンスには学外の方々を含め多くが参加し、活発な議論が行われました。
 本WGでは、岡山県を中心とした中四国において、出生前コホートの構築を進めています。カンファレンスの主催者であり、WGのメンバーでもある塚原教授は、今回のカンファレンスについて「主に中国四国地域の乳幼児を対象にした本コホート研究によって、この地域特有の環境的・社会的・経済的・文化的要因と複数の小児疾患の発症との関連性が明らかになっていくと思います。その結果は中国四国地域の医療保健のさらなる進展に資するものであろうと期待しています」と、出生前コホートの重要性について述べました。
WGでは産科データベースの構築・運用によって周産期の医療・福祉の更なる向上に寄与することを目指すとともに、本学の研究力と臨床力の強化促進に結び付き、次世代を拓く研究組織となることを目指します。

〇参考
岡山大学広報誌「いちょう並木」Vol.90(2018年10月号) 特集「人類の今と未来をつなぐ~SDGs達成に向けて~」(時空を超えた命のつながり。疫学で人々の暮らしに貢献する)
次世代研究育成グループ「中四国出生前コホート立ち上げワーキンググループ」始動

【本件問い合わせ先】
大学院医歯薬学総合研究科(医学系)教授 塚原宏一
TEL:086-235-7249
https://www.okayama-u.ac.jp/user/pedhome/index.html

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