二万大塚古墳 第三次発掘調査 概要報告

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1 調査の経過

調査は、2003年2月27日から4月2日までの期間、岡山大学考古学研究室の1年生から3年生と4年生の一部、及び大学院生が参加して行った。今回の調査は、石室の完掘と遺物出土状況の把握、昨年の北くびれ部トレンチの補足的調査、後円部の直径と古墳周辺地形の把握、前方部のコーナーの検出及び前方部幅の把握を目的とした。

 発掘初日には、一昨年、昨年に引き続き、今年も調査を行う後円部石室の封鎖の除去を行い、二日目から後円部石室、北くびれ部南トレンチ、後円部北トレンチ、前方部北トレンチの各トレンチにおいて本年度の調査を開始した。

 後円部石室では、昨年の封鎖を除去した後に掘り下げを開始した。昨年設定したベルト部分を残しながら掘り下げを行い、ほぼ全面で床面を検出した。玄室内、羨道内より須恵器、玉類、鉄器類などの遺物が多数出土した。また本年度はベルト部分を残しており、ベルトの掘り下げ及び石室の実測は来年度に持ち越すことになった。

 後円部北トレンチでは、2つのトレンチを設定し調査を行った。第1トレンチでは西側にベルトを残し掘り下げを行い、全面で遺構面を検出し、西壁セクションの実測を行った後にベルトを除去した。その後、東壁沿いに断ち割りを設定し掘り下げを行い、埋め戻しを行った。第2トレンチでは、全面で地山を検出した後に埋め戻しを行った。 

 北くびれ部南トレンチでは、3つのトレンチを設定し調査を行った。第1トレンチでは、土留めのベルトを残し掘り下げを開始した。掘り下げ途中に壁にささった状態の埴輪集中部を検出したため、西に50p、南に50pで11ラインから1mの拡張を行った。また土留めのベルトを除去し全面で遺構面を検出した。その後東壁沿いに断ち割りを設定し掘り下げを行い、埋め戻しを行った。第2トレンチでは、掘り下げを行い、途中で西側半分を半截し、地山を検出した。その後埋め戻しを行った。第3トレンチでは、土留めのベルトを残し掘り下げを行い、全面で遺構面を検出し、ベルト部分を除去した。その後全面で断ち割りを行い、埋め戻しを行った。

 前方部北トレンチでは、2つのトレンチを設定し調査を行った。第1トレンチでは、埴輪列を検出しいったん掘り下げを中断し、16ラインから西に50pの幅で先行トレンチを設け、掘り下げを行った。その後トレンチ全面で掘り下げを行い、全面で遺構面を検出した。またトレンチ南壁沿いに50p×2mの断ち割りを設定し、掘り下げを行っている。その後埋め戻しを行った。第2トレンチでは、遺構面を検出した後に東壁沿いと南壁沿いに75p幅で断ち割りを設定し、掘り下げを行った。その後、南壁沿いに75p×1mで拡張を行った。その後、トレンチ内で地山を検出し、埋め戻しを行った。

 勝負砂古墳では、3月9日から調査を開始し、翌10日に第4トレンチを設定し掘り下げを行い、3月31日に埋め戻しを完了し、本年度の調査を終了した。

 今年は3月19日に記者発表を行った上で、23日に現地説明会を行い、約200名におよぶ参加者があった。

 また今回の調査では、インターネットを通じて調査の経過及びその成果を随時紹介し、現地説明会資料なども掲載している。


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