第6回革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム「リグニンを用いた植物ウイルス対策実装の連携強化」

 本分野は、10月31日に岡山県農林水産総合センター生物科学研究所(RIBS)(岡山県吉備中央町)において、あらゆるウイルスから植物を守る研究についてのワークショップ「第6回革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム-低分子化リグニンによるウイルス対策技術の社会実装に向けた研究開発-」を開催しました。

 農林業の現場では、 DNAウイルスやRNAウイルスなどによる感染による枯れや病気発生によって出荷できないなどの経済的・社会的な損失が発生しており、世界的に大きな問題となっています。また自然界の植物も失われることが多く、環境問題ともなっています。これらの深刻な状況を打開するため、さまざまなウイルス感染から植物を守る早期診断法や感染防止の薬剤などの研究開発が強く求められています。

 今回、 農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」において研究拠点を務める岡山大学と岡山県農林水産総合センター生物科学研究所などが連携し、低分子リグニンの植物防疫への応用とその社会実装についての協議を重ねました。低分子リグニンとは、木などの植物が木としての構造を保つために持っている高分子化合物の一つです。

 開催にあたり、同事業のコンソーシアム・プログラム・マネージャー(研究管理総括役)を務める岡山大学の佐藤法仁研究担当学長特命URAが「本プラットフォームでリグインを取り上げて以来、様々な研究開発の促進・連携が進んでいる。 前回の奄美大島でのプラットフォームで得られた叡智をここ岡山で更に活性化させ、わが国の農業生産力向上へ寄与するとともに地域経済の活性化を同時に進めるべく叡智を結集していただきたい」とあいさつ。世話人であるRIBS植物免疫研究グループの鳴坂義弘グループリーダー岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(医学系)免疫病理学分野の大原利章助教とのリグニンの研究開発の取り組みについて説明。基調講演では、日本大学理工学部の星村義一教授が奄美大島において実施して来た研究について紹介。また技術講習では、効果的な植物防疫の仕組みについて参加者らとともに議論を深めました。

今後、低分子化リグニンの植物への応用研究を加速させるとともに、関係機関との連携をさらに深め、地域経済の活性化に寄与する異分野融合共同研究と社会実装を精力的に押し進めて行きます。

<参考:革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム>
第1回 網羅的RNAウイルス検出技術DECS法(2015年5月28~29日)
第2回 革新的技術でウイルス感染から家畜を守る-日中叡智共有化ワークショップ-(2015年7月20~22日)
第3回 低分子化リグニンがつくる新たなウイルス対策(2015年9月1~2日)

第4回 革新的技術で牛白血病ウイルス(BLV)感染から牛を守る(2015年10月11日)

第5回 “人工核酸結合タンパク質”の国際展開の強化・促進(2015年10月25-28日)


リグニンの研究開発について紹介するRIBS植物免疫研究グループの鳴坂義弘グループリーダー 奄美大島での研究開発と本事業との融合のあり方について紹介する日本大学の星村義一教授

効果的な植物防疫の仕組みについて議論する参加者ら




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