学部案内

ホーム > 学部案内 > 学部長挨拶

学部長挨拶

学部長 現代はポスト冷戦の時代と言われています。冷戦が終結してからはや30年近い月日が流れましたが、冷戦後の新たな秩序の形成をめぐる議論の中で脚光を浴びることになったのが、グローバル・ガバナンスという考え方です。この言葉を直訳すると「地球規模の統治」ということになりますが、その考え方の背景には、これまでの国家中心の国際秩序とは違って、たとえば、国連やNGO、多国籍企業や地方自治体といった国家以外の様々なアクターの存在を含めて、地球温暖化や放射能汚染などのいわゆるグローバル・イシューに有効に対処し得る協力のネットワークを構築しようという基本的な理念があります。また、こうしたグローバル・ガバナンスを下支えする議論として今日盛んに論じられるものとして、グッド・ガバナンスという考え方があります。これは、地域的もしくは国家的な規模のレベルにおいて、先進国が開発途上国における「よき統治」の構築プロセスを支援するという文脈の中で、グローバル・ガバナンスをめぐる議論としばしば結びつけられて論じられるものですが、こうしたグッド・ガバナンスの構築との関係で不可欠の前提となるものが法の支配に立脚した市民社会をめぐる伝統的な論議であると言えます。

法学・政治学という学問は、日本が明治維新の折に近代国家という政治制度を西欧から輸入して以来、こうした法の支配に立脚した市民社会の形成という問題と深く結びつけられつつ知的な発展を遂げてきており、それ故に、法学・政治学教育は、ガバナンスに関わる冷戦後の新たな国際秩序の形成をめぐる今日の一連の議論とも密接な関係性をもっております。岡山大学法学部は戦後、中四国有数の法学・政治学教育の拠点としての役割を担っており、これまで日本における法の支配と市民社会の形成を支える数多の人材を法曹や官公庁、民間企業等の各界に送り出しております。岡山大学法学部で学ばれることが、地域社会においてはもちろんのこと、ここで話しました冷戦後の新たなガバナンスの有り様にも大きく寄与するものとなることを願って、私の挨拶の言葉とさせて頂きます。

法学部長 河原 祐馬