国立大学法人 岡山大学

LANGUAGE
ENGLISHCHINESE
MENU

岡山大学生による製品のCO2排出量可視化チャレンジ成果報告会を開催

2025年01月28日

 本学は1月20日、岡山県商工会連合会および株式会社中国銀行と共催で、CO2排出量可視化チャレンジ成果報告会を開催し、県内の中小企業や金融機関等の支援機関から約60人が参加しました。報告会では、岡山大学と岡山県商工会連合会との連携・協力協定に基づく取り組みの一環として、昨年度から実施している学生によるカーボンフットプリント算定チャレンジについて発表しました。さらに、今年度は本学と中国銀行が採択された環境省「地域ぐるみでの脱炭素経営支援体制構築モデル事業」の一環として、県内企業2社の組織温室効果ガス(Greenhouse Gas:GHG)排出量算定結果についても発表しました。
 カーボンニュートラルを実現するためには、サプライチェーン全体で温室効果ガスの排出削減を進めていくことが重要であり、そのための手段として個々の企業が提供する製品やサービスの温室効果ガス排出量を可視化する「カーボンフットプリント(CFP)」が注目されています。同取り組みでは、管理会計や原価計算を専門とする学術研究院社会文化科学学域(経済)の天王寺谷達将准教授の研究室に所属する学生が、商工会会員である岡山技研工業株式会社(和気郡和気町)製造の2種類の製品について、経済産業省および環境省が策定したガイドラインに基づいたカーボンフットプリントの算定に挑戦しました。
 報告会では冒頭に、環境省地球環境局地球温暖化対策課の峯岸律子課長補佐が来賓としてあいさつし、「全国の地域ぐるみでの脱炭素経営支援体制構築モデル事業への採択地域の中でも岡山大学の取り組みは特にモデル性が高く、将来を担う学生によるCFPチャレンジは大変すばらしい」と述べました。その後、天王寺谷ゼミの学生、中国銀行の担当者がCO2排出量算定結果についてプレゼンし、中小企業における脱炭素への取り組みを加速するための方法について、会場の参加者を交えて活発な議論が交わされました。
 天王寺谷ゼミの学生たちは、今回のチャレンジについて「管理会計や原価計算の知識がこうした環境分野にも応用できることを実感した。消費者側の視点からは、CFPは環境に優しい製品かどうかを直感的に判断するために非常に重要だと感じた。就職先でも今回学んだ事を発揮していきたい」と話しました。
 また、岡山技研工業の川上哲治専務取締役は、「チャレンジ前はCFPの事は一切知らなかったが、学生とともに学ぶうちにその仕組みや重要性を理解できた。原材料の輸送方法や積載率によってCO2排出量が変わることなどを意識しながら、企業価値向上のためにできることから取り組んでいきたい」と話しました。
 天王寺谷研究室では、今回の経験を生かして来年度も県内支援機関との連携により、県内企業とともに同様のチャレンジを行う予定です。 
 また、本学は、昨年7月に環境省「令和6年度地域ぐるみでの脱炭素経営支援体制構築モデル事業」に採択され、産学官金での連携により岡山における地域ぐるみでの脱炭素経営支援体制の構築を推進しています。本取り組みで得られた経験を地域へ広く還元し、地域全体の脱炭素経営への機運上昇を目指していきます。

【本件問い合わせ先】 
研究・イノベーション共創機構 産学官連携本部 舩倉
TEL:086-251-7151

【関連記事】
(昨年度のCO2排出量可視化チャレンジ)
2023年7月27日:本学学生が企業と製品のCO2排出量可視化にチャレンジする取り組みを開始
2023年10月3日:CO2排出量の可視化を目指して学生たちが工場を見学しました
2024年2月9日:岡山大学生による製品のCO2排出量可視化チャレンジ成果報告会を開催

(今年度のCO2排出量可視化チャレンジ)
2024年7月30日:本学学生が企業と製品のCO2排出量可視化にチャレンジする取り組みを開始
2024年10月7日:第二回「企業のCO2排出量可視化を目的としたワークショップ」を開催 学生たちが工場を見学

令和6年度地域ぐるみでの脱炭素経営支援体制構築モデル事業に採択 ~産官学金で中小企業の脱炭素経営を推進~

カーボンフットプリント勉強会を初開催

※カーボンフットプリントとは、製品やサービスの原材料調達から廃棄、リサイクルに至るまでのライフサイクル全体を通して排出されるGHGの排出量をCO2排出量に換算し、製品に表示された数値もしくはそれを表示する仕組みのこと。
出典:カーボンフットプリント ガイドライン(経済産業省、環境省)

※岡山県商工会連合会
県内20の商工会を会員とし、各商工会の指導、商工業に関する情報収集・調査研究、経済団体との連絡・連携などを担う。商工会は、小規模事業者等を対象とした経営支援事業を行うとともに、文化事業なども実施し、地域振興に関して大きな役割を果たしている。2021年5月に、地域の発展とSDGs の達成へ貢献することを目指して、岡山大学と連携・協力に関する協定を締結。

岡山技研工業株式会社
岡山県和気郡和気町に本社を置き、型打ち鍛造と金型設計製作の専門メーカーとして自動車部品、農業機械部品、船舶部品等の多種多様な製品を製造。

年度