国立大学法人 岡山大学

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革新的早期検査法とワクチン開発で牛白血病ウイルス(BLV)から牛を守る~第11回革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォームを開催~

2016年03月31日

 本学は3月15日、ウイルス感染から家畜を守る研究についてのワークショップ「第11回革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム 革新的早期検査法とワクチン開発で牛白血病ウイルス(BLV)から牛を守る」を、東京大学農学部フードサイエンス棟中島董一郎記念ホール(東京都文京区)において開催しました。
 農林畜産水産の現場では、多種多様のウイルスによって経済的・社会的な損失が発生しており、世界的に大きな問題となっています。また自然界においても動物、植物が失われることが多く、自然・環境問題ともなっています。これらの状況を打開するため、ウイルス感染から動物、植物を守る早期診断法や感染防止の薬剤などの研究開発が強く求められています。
 今回のプラットフォームでは、研究拠点を務める本学と補完研究機関である国立研究開発法人理化学研究所および連携企業などが密に連携し、牛白血病ウイルス(BLV)と地方病性牛白血病(EBL)をメインテーマにして、その概要や早期BLVウイルス検査法、ワクチン開発などについて、当該分野の研究者らが叡智を共有化することで、効果的な研究開発や社会実装の強化促進を図りました。
 具体的には、まず革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)でコンソーシアム・プログラム・マネージャー(研究管理総括役)を務める佐藤法仁リサーチ・アドミニストレーター(URA)が、同事業の概要と研究開発された成果物を効果的に現場に共有するための連携強化の重要性について説明しました。補完研究機関である国立研究開発法人理化学研究所分子ウイルス学特別研究ユニットの間陽子ユニットリーダーは、「EBLのワクチンと育種戦略」と題して、現在開発中のワクチンについて概要を説明。同ユニットの竹嶋伸之輔研究員は新たなBLV早期検査法である「BLV-CoCoMo-qPCR法」について、その原理と検出法について、さまざまな事例を取り上げながら詳細に説明しました。
 また、同分野の先端情報の話題提供として、農林水産省消費・安全局動物衛生課の木下祐一課長補佐からは「EBL対策について」、日本大学生物資源科学部獣医学科の泉對博教授からは「白血病発症牛のBLVプロウイルスの組込み位置および細胞内シグナル発現量の解析」、地方独立行政法人北海道立総合研究機構畜産試験場家畜衛生グループの小原潤子研究主査からは「牛白血病ウイルスの伝播リスク要因について」、北海道大学大学院獣医学研究科の今内覚准教授からは「牛白血病における免疫学的解析」、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所の小西美佐子主任研究員からは「EBLの新たなバイオマーカーの探索」について話題提供があり、参加した教職員や獣医師、家畜衛生保健所職員、農業共済組合らとBLVの克服法や家畜現場での対策方法の効果的なあり方などについて熱心に議論を重ねました。
 なお、本ワークショップは本学が研究拠点(代表研究者:本学大学院自然科学研究科(工学系)の世良貴史教授)を務める農林水産省「革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)」において得られた最新研究の叡智を社会に広めるために実施する「革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム」および「理研シンポジウム」の取り組みの一環として実施されました。今後も農林畜産水産分野や社会を革新する研究開発を精力的に押し進め、社会実装を目指します。

農林水産省革新的技術創造促進事業(異分野融合共同研究)://www.okayama-u.ac.jp/user/ibunyapj/index.html

<参考:革新的ウイルス対策技術分野叡智共有化プラットフォーム(過去5回)>
第6回 低分子化リグニンによるウイルス対策技術の社会実装に向けた研究開発(2015年10月30~31日)
第7回 ウシ白血病ウイルス(BLV)から牛を守る革新的技術の社会実装に向けて(2015年11月26日)
第8回 世界規模での人工核酸結合タンパク質を用いたウイルス不活性化技術を目指す(2015年12月15~20日)
第9回 革新的技術でウイルス感染から家畜を守る-日中叡智共有化ワークショップ2-(2016年3月5~8日)
第10回 革新的技術でウイルス感染から家畜を守る-日中叡智共有化ワークショップ3-(2016年3月8~9日)

【本件問い合わせ先】
岡山大学リサーチ・アドミニストレーター(URA)執務室
TEL:086-251-8919

(16.03.31)


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