乳酸脱水素酵素, LD(lactate dehydrogenase)
臨床的意義
LDHはあらゆる組織に広く分布し、細胞の可溶性分画に存在する。LDH活性が血清中に増加するのは、いずれかの組織で組織の損傷が存在しLDHが血清へ遊出(逸脱)していることを意味している。したがって、スクリーニング検査に位置づけられる重要な酵素である。そして、引続き損傷臓器の推定のための検索(酵素プロファイル、またはアイソエンザイム分画)が要求される。その他の酵素と組み合わせた酵素プロファイル(LDH/AST比など)は有用であり、スクリーニングの基本検査に含まれる。また、この酵素の各臓器でのアイソエンザイムパターンには特徴があるので、アイソエンザイム分画酵素プロファイルと組み合わせて損傷臓器の推定に診断的意義が高い。
異常値を示す疾患
高値疾患: 臓器損傷
低値疾患: Hサブユニット欠損症
測定方法: L->P法(IFCC) (令和2年7月14日より)
L->P法(JSCC) (平成14年7月1日より令和2年7月13日まで)
P->L法 (平成14年6月30日まで)
測定機器: 日本電子BM8040(平成26年3月24日より)
日本電子BM2250(平成18年7月18日より平成26年3月20日まで)
日立7350自動分析装置(平成18年7月14日まで)
測定試薬: 積水メディカル(令和2年7月14日より)
(株)シノテスト(平成22年6月1日より令和2年7月13日まで)
シスメックス (平成18年7月18日より平成22年5月31日まで)
関東化学 (平成14年7月1日より)
国際試薬 (平成14年6月30日まで)
基準範囲: 124〜222 U/L(平成27年7月1日より共用基準範囲へ変更)
120〜240 U/L (平成14年7月1日より平成27年6月まで)備考:120〜260 U/L(60才以上)
236〜455 U/L (平成6年9月から平成14年6月30日まで)
203〜442 U/L (平成6年8月まで)
相関
令和2年7月14日
X=旧機器、旧試薬
Y=新機器、新試薬
Y=0.96X+13.2 r=0.9905 n=548
平成22年6月1日
X=旧試薬
Y=新試薬
Y=1.03X-3.7 r=0.999 n=200
平成18年7月18日
X=旧機器、旧試薬
Y=新機器、新試薬
Y=0.99X+5.74 r=0.999 n=200
平成14年7月
従来法:X
新法:Y
Y=0.53X+8.41 r=0.999 n=75
平成6年9月
従来法:X
新法:Y
Y=1.155X-23.727
小児の基準値
新生児期に高値(対成人値比は約1.8)であるが、その後漸減して思春期以降は成人値になる。全年齢を通じて性差はない。
採取容器:茶)生化学一般用分離剤入り試験管
関連項目
CK−MB
心筋トロポニンT(TnT)
CK(CPK)
ミオグロビン(Mb)
CBC
網赤血球
Hp
ALT(GPT)
ALP
γ−GT(γ−GTP)
CHE
T−Bil
D−Bil
PT
APTT
T−cho
腫瘍マーカー