学部長メッセージ
岡山大学農学部長 一瀬勇規
使命と役割
農学は、生物資源の多面的価値を理解するとともに、それらを食料生産や自然環境の保全に応用し、人類の持続可能な発展を根幹から支える学問です。 21世紀の人類にとって、人口増加を支えうる食料の確保、生命・生活を保障する安全で快適な環境の保全など多くの世界的規模の困難な問題を解決していかねばなりません。これらの問題は農学と深く関わっているため、人類の恒久的発展の鍵を農学が握っているともいえます。
岡山大学農学部は、持続可能な開発目標”SDG”を踏まえ、農学の網羅する専門的知識の習得のみならず、多様化する世界情勢に対応し、幅広い領域で柔軟な応用力を発揮できる人材を育成すること、そして人類の持続的発展を担う新たな農学研究を推進することにあります。
教育
岡山大学農学部は、1949年に農学科と園芸学科の2学科構成で設立され、その後、畜産学、農芸化学、農業工学の各学科、附属農場を設置し、農学全般に関わる教育と研究を行ってきました。1986年に農学への新たな社会的要請に応えるため、全国の大学に先がけて学科制を改め、「総合農業科学科」1学科体制に改組しました。2006年には「総合農業科学科」1学科制を維持しながら新たな「コース制教育」を導入しました。これにより、多様な学問領域からなる農学教育の一層の充実を図るとともに、時代のニーズに柔軟に対応できる総合性と専門性を兼ね備えた人材の育成を目指す斬新な教育システムを創り上げました。
コース制教育は、(1) 生物現象を化学の視点から理解し応用するための教育を行う「農芸化学コース」、(2) 農業生産の基盤をなす植物を対象としたバイオサイエンスの基礎と応用教育を行う「応用植物科学コース」、(3) 合理的かつ安全な動物生産と利用に関わる基礎と応用教育を行う「応用動物科学コース」。(4) 社会科学,生産工学および生態学の基礎と応用教育を行う「環境生態学コース」の4つのコースから成り立っています。
本学部では、1年次に農学に関する基礎知識を幅広く習得させた上で、2年次からそれぞれのコース専門教育を積み上げていくユニークな教育・研究体制を構築しています。 この独自の教育・研究体制こそが、多様化する社会的ニーズに柔軟に対応し、幅広い領域で応用力を発揮できる人材の育成を可能にすると考えています。
研究
本学部は、持続可能な開発目標 (SDGs) を見据え、農学に関わる多様な領域でグローバル展開のできる人材の育成と輩出の基礎を担っています。 また、学部を卒業した学生の多くは大学院(大学院環境生命自然科学研究科)に進学して、引き続き農学部教員から専門性のより高い教育・研究指導を受けています。研究科では、生命現象の分子レベルから高次生体レベルでの解明、生物の生産機構・機能の解明とその高度利用、地球環境や生態系の保全、農業経済の振興、農業機械・ロボットの開発に向けた研究を推進し、それらの成果を積極的に世界に発信しています。農学部教員は、大学院(大学院環境生命自然科学研究科)を担当しています。