可溶性フィブリンモノマー複合体定量, SFMC (Soluble fibrinmonomer complex)
平成13年1月31日より受託中止(試薬製造中止のため)
平成18年8月21日より院内実施

臨床的意義
 生体にとって重要な防御反応の一つである止血反応は、血管の損傷部位への血小板血栓の形成(一次止血)と、それに引き続く血液凝固系の作動を介したフィブリン塊の生成による血小板血栓の強化(二次止血)とからなる。さらに、]V因子(フィブリン安定化因子)により血小板血栓を包み込んだフィブリンの分子間に架橋が形成され止血栓が安定化し、止血が完了する。血液凝固は、各種の凝固因子が連鎖的に反応して、U因子であるプロトロンビンをトロンビンに変換し、可溶性のフィブリノゲン(T因子)が不溶性のフィブリンに転換する反応である。フィブリノゲンは、Aα、Bβおよびγの3種類のサブユニットがSS結合し、それが2個ずつ対をなした二量体(Aα・Bβ・γ)2で、分子量は340,000である。トロンビンは、フィブリノゲンのAα鎖のN末端からフィブリノペプチドA(FPA)を、Bβ鎖のN末端からフィブリノペプチドB(FPB)を切断する。フィブリノゲン1分子から2分子ずつのFPAとFPBが切断されて残った分子がフィブリンモノマーである。フィブリンモノマーは重合部位が露出しているため互いのN末端とC末端が重合して、フィブリンポリマーとなり、フィブリン塊を形成する。なお、一部のフィブリンモノマーは、フィブリノゲン、フィブロネクチン、FDPなどと結合し可溶性フィブリンモノマー複合体(SFMC)を形成し、血液中を循環する。したがって、血液中のフィブリンモノマー、SFMC、フィブリノペプチドなどは、凝固亢進の指標として重要である。フィブリンモノマーの測定法も開発されているが、不安定なフィブリンモノマーの測定は通常の臨床検査では一般的でなく、もっぱらSFMCが測定される。可溶性フィブリンモノマーおよびSFMCは凝固亢進の指標であるため、凝固亢進および二次線溶亢進の病態把握に用いられる。これらは凝固活性亢進状態のきわめて早期から出現するので、DICや各種の血栓症の早期診断のスクリーニング検査として有用である。
 
異常値を示す疾患
高値疾患: DIC、膠原病、腎炎、ネフローゼ症候群、糖尿病性網膜症、虚血性心疾患

測定機種:
CS-5100(シスメックス株式会社)(平成26年3月24日より)

ACL TOP(三菱化学ヤトロン社)(平成18年8月21日より平成26年3月23日まで)

測定方法 :  ラテックス凝集反応(平成18年8月21日より)
          
赤血球凝集反応(塩野義)(平成13年1月31日まで)

基準範囲 : 6.1μg/mL 以下(平成年30年6月26日より
         7.0μg/mL 未満(平成年18年8月21日より平成30年6月25日まで)
         
(-)
(平成13年1月31日まで)

相関:
平成30年6月26日


Y=0.9125X+0.7715 r=0.7512



採取容器: 黒)3.2%クエン酸ナトリウム

関連項目

プロトロンビン時間(PT)
活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)
フィブリノーゲン量
血小板数
血小板第4因子(PF4)
β-トロンボグロブリン
トロンビン・アンチトロンビンV複合体(TAT)
F1+2
FDP
FDP-E
α2−プラスミンインヒビター・プラスミン複合体
Dダイマー

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