ダニが媒介する感染症についての注意喚起

 これまで、「ダニが媒介する感染症」として国内ではマダニ類にかまれることにより起こる「日本紅斑熱」やツツガムシ(ダニの一種)の幼虫に咬まれることにより起こる「つつが虫病」などが知られていましたが、2013年1月、ダニ媒介性の新しい感染症「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」(2012年秋に死亡、最近の海外渡航歴なし)の患者が国内で初めて確認されました。

このSFTSはウイルスによって引き起こされ、このウイルスを媒介すると考えられているのがマダニ類です。マダニ類は外皮に覆われた比較的大型(吸血前で3〜4mm)のダニで主に森林や草地等の屋外に生息し、市街地周辺でも見られます。よって国内に広く分布するので、全国どこにおいても発生する可能性のある感染症と考えられます。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、このウイルスを保有している野外のマダニに咬まれることによって感染します。また、感染者の血液・体液との接触感染も報告されています。咬まれてから6日〜2週間後に発熱、倦怠感、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、下痢、腹痛)が現れ、重症の場合は、死に至ることもあります。
現在のところ有効な抗ウイルス薬やワクチンはありません。そのため予防として、野外でのダニ対策を行いダニに咬まれないようにすること、感染者の血液、体液、排泄物との直接接触を避けることが大切です。

したがって、屋外での作業や実習を行う際は十分に注意するようお願いいたします。
また、野外でダニに咬まれた後、数日して発熱等の症状が認められた場合は、速やかに医療機関を受診してください。また、吸血中のマダニに気付いた際は、直接手でダニを取ったり、つぶしたりせず、できるだけ病院で処置してもらいましょう。ただ、ほとんどの医療機関で、まだ経験がない新しい病気なのでその対応が難しいことをご理解ください。     (2013/02/25)
                          

マダニに咬まれないための対策

 1. マダニは、主に草むらや藪・森林にいます。このような場所で長時間地面に
   直接寝転んだり、座ったりするのは止めましょう。
 2. 草むらなどに入るときは、長袖、長ズボン、手袋、長靴等を着用しましょう。
   また、色の薄い服はくっついたダニを見つけやすくなります。
 3. ダニをよせつけないためには、肌の露出部分(特に頭皮や足指)や服に
  DEET(ディート)などの有効成分が含まれた虫除け剤を使用するのも有効
  です。(注:虫除け剤は注意書に沿って使用してください。目、口、耳、傷が
  ある部位、皮膚が過敏な部位には使用しないように)
 4. 帰宅後はすぐ入浴し、体をよく洗い、新しい服に着替えましょう。
   着ていた服はすぐに洗濯するか屋外で天日干ししましょう。                                                 
参考:   
厚生労働省HP
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/sfts.html
岡山県HP
http://www.pref.okayama.jp/page/308929.html