感染性胃腸炎(ノロウイルス)

 感染性胃腸炎はさまざまな病原体による疾患を含みますが、冬季に増加するものの大半はノロウイルスや
ロタウイルスなどのウイルス感染が原因と考えられています。そのため感染の予防に十分ご留意いただきたいと思います。

感染性胃腸炎の注意喚起     

 感染性胃腸炎は、県全体で409 名(2019 年 第51 週( 12 16 日 ~ 12 22 日))(定点あたり6.50 7.57 人)の報告があり、前週から増加しました。地域別では、備北地域(13.50 人)、岡山市(10.50 人)で、定点あたりの報告数が多いです。
 例年、感染性胃腸炎は12月から年明けの1月にかけてピークを迎えます。今年の流行は例年より立ち上がりが遅いようですが、このところ増加が続いており本格的な流行シーズンに入る可能性があります(図)。熊本市では、昨年末の1220日にノロウイルス食中毒の注意報が発令されました。患者が急増した1、2週間後に食中毒が多発するとされ、手洗いの徹底など注意を呼び掛けています。
 冬の感染性胃腸炎の原因は、ノロウイルスなどのウイルスによるものが多いと言われています。
手洗いの徹底や、下痢便・おう吐物の適切な処理など、感染予防と拡大防止に努めてください。加熱が必要な食品は中心部までしっかり加熱(中心部が85℃~90℃で90秒以上)することが重要です。
この感染症は、通常、重症化することはありませんが、おう吐や下痢による脱水症状を起こすこともありますので、体調の変化への注意を促し、疑わしい症状の学生には医療機関を受診するようご指導下さい。



図 岡山県感染症週報 2019 年 第51 週( 12 16 日 ~ 12 22 日)より

参考:
岡山県感染情報センター
http://www.pref.okayama.jp/page/99228.html

厚生労働省:ノロウイルスに関するQ&Ahttp://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html


ノロウイルスによる感染性胃腸炎について

ノロウイルスによる感染症はこれまでは生ガキなどを摂取することによる「冬の食中毒」として知られていましたが、2006年は「人から人」への感染が中心になっていると国立感染症研究所が報告し、この変化が2006年の
異常流行の原因の一つとみて、手洗いや汚物処理など「人から人」感染の対策を徹底するよう警告しています。

発生時期
発生の状況としては秋頃より増え始め、ピークは12月と冬季に多く発生します。2006年はノロウイルスによる胃腸炎が過去最高の流行を記録し、2010年はこれに次ぐ流行を記録しました。



感染経路:経口感染
 1.汚染貝類を生または不十分な加熱で摂食
 2.食品取扱者が感染して食品が汚染し、その汚染食品を摂食
 3.患者の糞便・吐物から、直接あるいは間接的に人の手を介して感染
 4.吐物から漂いだしたウイルスが飛散して感染
 5.汚染井戸水・簡易水道等が消毒不十分で 

潜伏期
ノロウイルスに感染してから症状が出現するまでの期間: 1~2日

症 状
吐き気、おう吐、下痢、腹痛など。健康な人は軽症で比較的短期間(平均1~2日)に症状は回復します。しかし、子どもやお年寄り、合併する病気のある人などでは、重症化したりおう吐物を誤って気道に詰まらせたりして死亡することもあります。
一方、症状の消失後も3~7日間ほど便中にウイルスが排出されるため、感染源となりえます。

診 断
糞便中のノロウイルスの検出で確定診断できますが、検査に保険適用はなく(自費で3,000円~10,000円)、病院でも一般的には行わず症状から診断することが多いようです。

治 療
ノロウイルスについてはワクチンや特効薬がなく、治療は対症療法が中心で、水分補給によって脱水を防ぐことが重要です。

予防対策
身の回りの方々と一緒に、以下の予防対策を徹底しましょう。




                       (厚生労働省HP、国立感染症研究所HPより一部引用)

詳細は下記ホームページをご参照下さい。

厚生労働省 ノロウイルスに関するQ&A:
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html

国立感染研究所 感染症情報センターホームページ「ノロウイルス感染症」:
http://idsc.nih.go.jp/disease/norovirus/index.html