災害対策室長より

みなさまは,災害時の医療がどのような状態になるか,想像したことはありますか?地震,洪水といった大規模災害,列車事故や爆発事故など局地的なものや戦争など,災害にはさまざまな形態があります。
災害が起こると,多くの人が負傷し,医療の手が足りなくなる場合があります。さらに地震や戦争などでは電気や水道といったライフラインが壊れ,必要な医療機器・薬剤が充分に使えない事態にもなりかねません。そのため,被災者のみなさんにまんべんなく医療を届けることが難しくなるため,緊急性や重症度に応じて優先順位を決める必要があります。限られた資源でできるだけ多くの命を救うためには,医療従事者が日頃から十分な訓練を行うことが不可欠です。

岡山大学病院は「災害拠点病院」として指定されており,災害時には地域の司令塔となって多くの負傷者に対応できるよう備えています。また,災害派遣医療チーム(DMAT)の隊員が数多く在籍しており,院内でも定期的に訓練を行っています。平成30年の西日本豪雨災害時には,岡山県南東部地域のDMAT活動拠点本部を院内に設置し,被災者の医療支援を行いました。
院内の災害対策室の役割として,岡山県内にある他の災害拠点病院や院内各部署と連携しながら,職員向けの災害医療教育や院外機関との協同訓練を行い,地域の災害医療体制を強化することを行っています。大学病院としての研究機関の役割も果たすため,災害医療に関する研究や情報発信にも注力しています。

災害時の医療対応を円滑に進めるには,患者さまや地域のみなさまの協力が欠かせません。被災時には通院・入院を問わず医療スタッフの指示に従って行動していただけますようお願いいたします。私たち医療者も,災害時にはみなさまの生活が一日も早く元の状態に戻るよう,全力を尽くしてまいります。

 
 
岡山大学病院 災害対策室長 代行
                                       野島  剛