病院長挨拶

患者さんのために,保健・医療の発展のために,
自己ではなく社会のために

岡山大学病院の理念は,「高度な医療をやさしく提供し,優れた医療人材を育て,社会・地域の持続的な健康増進に貢献する」です。当院は,1870(明治3)年の岡山藩医学館大病院が開設して以来,150年を超える長い歴史と伝統を受け継いできた病院ですが,私達は,これまでも,そしてこれからも患者さんに最良な医療を届けていきたいと考えています。
 
当院は,ロボット支援下手術やIVRなどの低侵襲医療,臓器移植や高難度手術,集学的がん治療などの高度先進医療を提供してきました。今後は,これらの中核分野をさらに磨き,また,これからの発展が期待される免疫療法やゲノム医療も強力に推し進めていきます。2015(平成27)年8月に当院は,中国地域の「造血幹細胞移植推進拠点病院」に選定され,白血病などの難病に対し多くの造血幹細胞移植を実施するとともに中国地域の移植医療の推進に取り組んできました。また,中国・四国地域で最初に遺伝子導入された免疫細胞療法(CAR-T細胞療法)の提供施設として認定され,多くの患者さんに最先端の治療を届けています。
 
がんの遺伝子を調べ,患者さん毎に最適な医療を提供するがんゲノム医療が急速な進歩を遂げています。当院は,「がんゲノム医療中核拠点病院」に選定され,個々のがん患者さんに最適な医療を提供するだけでなく,治験・先進医療を主導し研究開発を進めることにより,がんゲノム医療を牽引する役割を担っています。ゲノム医療総合推進センターを中心に,腫瘍センター,バイオバンク,臨床遺伝子診療科などが一体となって,がんゲノム医療の発展に取り組んでいます。
 
当院は,「臨床研究中核病院」として日本発の革新的医薬品・医療機器の開発などに必要となる質の高い臨床研究を推進するため,国際水準の臨床研究や医師主導治験の中心的役割を担う病院と位置づけられています。また,「橋渡し研究支援拠点病院」でもある当院は,基礎研究から実際の患者さんの治療まで届く研究を続けています。岡山大学病院は,産学官連携事業を推進し,分野を横断した研究環境から革新的な医療を生み出すことを通じて,社会・地域の持続的な健康増進に貢献していきます。
 
そして,当院は優れた医療人材を育てる場でもあります。すべての人とモノがつながり,様々な情報が共有され,いままでにない新たな価値が生み出されるSociety 5.0の社会にあって,医療人にも取り巻く社会変化への対応が求められています。データ駆動型研究や人工知能技術ならびにビッグデータ解析に長けたデジタル化推進人材の発掘と育成に注力しています。「患者さんのために,保健・医療の発展のために,自己ではなく社会のために」という,変えずにしっかり守っていく「不易」な姿勢と,社会変化に柔軟に対応できる「流行」の能力を携えた医療人材を育成し,地域・世界に輩出していきます。
 
これからも職員一丸となって患者さんと社会・地域からの期待に応えられるよう全力で取り組んでまいりますので,今後とも岡山大学病院をよろしくお願いします。

2021年4月

 岡山大学病院長
前田嘉信