高度救命救急センター

高度救命救急センター

高度救命救急センター長より

近年,医療が高度化・専門化するにつれ,各専門科の領域間の空洞化が進んでいます。一方で,救急搬送数は人口の減少に反して増加し続けています。領域をまたぐ,そして地域に根ざした総合的な問題解決能力をもつわれわれ救急医の需要は,ますます高まる一方です。私は,3つのS=Speed(スピード感), Sympathy(患者や家族に対する慈しみの気持ち), Science(科学的な考え)が救急医療に携わる医療者には不可欠と考えています。救急外来は社会の縮図であり,医療の最先端から,どこも受け入れ先がない社会的弱者まで,多彩な患者さんが運び込まれてきます。私たち岡山大学病院救命救急科は,様々な社会のニーズに応え,地域に貢献できるよう,今後もますます,皆様のご期待に添えられる診療科であるよう,まい進してまいります。

中尾篤典

高度救命救急センター長中尾 篤典

活動内容・特色について

岡山大学病院高度救命救急センターは,岡山県で2つしかない最重症の患者を診療する特殊な施設であり,14人の救急科専門医を中心に全診療科が関与する診療部門です。24時間救急科専門医を含めた専従医が常駐し,岡山県ばかりでなく近隣の地域の患者にとっての最後の砦として診察に当たります。また,2022年4月より本格稼働したドクターカーや防災ヘリ等で,救急・災害現場あるいは市中の医療機関で発生した重症救急患者に対して,救命救急科を中心に全診療科の協力のもと救命,機能維持,病態改善に全力を尽くしています。
主に,救急車で搬送されてくるショック,多発外傷,重症熱傷,指肢切断,薬物・毒物中毒,あるいは他の医療機関で対応困難な重症患者に対応しています。高度救命救急センターに専属の,臨床工学士や薬剤師,栄養士も配置され,さらには精神科神経科の協力のもと,患者さんはもちろん,急な出来事で戸惑うご家族への精神的なケアも行っていただいています。
従来は最重症患者のみを扱う部門でしたが,2021年からは,より地域への貢献を重視し,大学病院かかりつけ患者さんの救急対応も幅広く行い,「いつでも,どこでも,誰でも,何でも」診れる診療科として皆様のため奮闘しています。また,不幸にも救命がかなわない患者さんに対しても,最後まで尊厳を損なわず,患者にとっても家族にとっても理想的な終末期を提供できるように努めています。