高度救命救急センター

診療・運営体制

近年,救急搬送件数は増加の一途を辿っています。高度救命救急センターはここでなければ助からない最重症救急患者の診療はもちろん,かかりつけや受け入れ先がなかなか見つからない搬送困難例を含めて,地域に根差した救急医療を提供する使命があると感じています。私たち高度救命救急センタースタッフは,院内の他の専門診療科や様々な職種と協力・連携しながら,重症患者の救命はもちろん,救命が困難となる患者さんの終末期ケアや家族のサポートも含め,様々な患者さんや社会のニーズに応え,地域に貢献できるよう努めてまいります。

 

センター長
中尾 篤典

診療内容・特色

高度救命急センタースタッフは,救急科専門医や指導医をはじめとして,外科や麻酔科,小児科など複数の専門医資格を有する15名以上の専従医師のほか,看護師や病院救急救命士,臨床工学技士,薬剤師,理学療法士,管理栄養士,ソーシャルワーカーなど多くの職種で構成されたチームとして高度な救命医療を提供しています。救急外来では主に救急車やドクターヘリで搬送される救急患者の初期治療に始まり,重症患者は高度救命救急センター内に12床ある救急集中治療室(EICU)にてその後の全身管理を行います。その他,救急一般病床4床を有し,経過観察のためやEICUからの転棟した患者さんを受け入れます。救急搬送数は増加の一途を辿っており,当院は地域救急医療の最後の砦としての役割を果たす必要があります。そのため,集中治療や専門的な治療が必要なくなった患者さんは速やかに近隣病院へ転院をお願いしています。
 
2023年度からはドクターカーの運用を開始し,救急医によりいち早く救急医療が提供できるようになったり,複数傷病者が発生した事案などでの現場での迅速かつ最善の判断や救命処置の開始に繋げられたりできるようになりました。ドクターカーが運行できない時間帯は岡山市消防局とも連携し,市の救急車によるピックアップ方式で24時間現場出動の体制を維持しています。また,ドクターカーはECMO搬送など重症患者の病院間搬送にも役立っています。
 
また,当科の診療の特徴として,重症の救急患者さんは病態が複雑であったり様々な社会背景を有する患者さんも多かったり,治療方針や目標設定に難渋するだけでなく,時には救命が難しくなる事態も出てきます。そこで,医師や看護師だけでなく,薬剤師,臨床工学技士,理学療法士,管理栄養士,ソーシャルワーカーなど多職種カンファレンスを定期的に,必要に応じて臨時に実施し,治療方針の協議や情報共有を行いながら,常に本人が望む治療やケアを家族と共に模索しています。中でも終末期において選択肢の1つとなり得る脳死下臓器提供は,2024年6月までに30例以上の経験があり,我々医療者と家族が一緒に考えるプロセスを経ながら,本人が望むであろう“看取り”が提供できるよう心がけています。
その他,災害拠点病院として,国内の災害現場にDMATを派遣したり,地域の学校などでの心肺蘇生講習,地域住民への救急対応や人生会議の座談会なども行ったりしながら,医療の最先端から最後尾まで,消防とも協力しながら地域に根差した救急診療にあたっています。
 

診療実績

診療実績については,高度救命救急センターのホームページをご覧ください。
 

スタッフ紹介