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2025/09/17 プレスリリース

コロナ後遺症の診断における酸化ストレスマーカーの有用性

岡山大学学術研究院医療開発領域(岡山大学病院総合内科・総合診療科)の大塚勇輝助教(特任)と同大学病院総合内科・総合診療科の櫻田泰江医員,同大学大学院医歯薬学総合研究科博士課程(総合内科学)の目瀬修大学院生,同大学学術研究院医歯薬学域(医)総合内科学の大塚文男教授らのグループは,山口大学大学院医学系研究科基礎検査学講座の野島順三教授らとの共同研究において,2024年5月~11月に岡山大学病院のコロナ・アフターケア外来(コロナ後遺症外来)を受診したオミクロン株期の感染による患者77人(女性41人・男性36人:中央値44歳)を対象に,血清中の酸化ストレスマーカー((血清d-ROM(酸化ストレスの強さを示す指標),BAP(抗酸化力を示す指標),OSI(酸化ストレスと抗酸化力のバランスを示す指標))を測定しました。
その結果,後遺症患者では健康な人と比べて酸化ストレスの程度が高く,それに対抗する抗酸化力が低下していることが分かり,診断指標としての有用性が示されました。後遺症患者のうち,女性は男性よりも酸化ストレスが高く,年齢・肥満の程度,一部の炎症マーカーと相関していました。また,甲状腺ホルモンや副腎皮質ホルモンとの関連も示唆され,後遺症の複雑な病態の一端が示されました。症状ごとの解析では,特に思考力や集中力の低下を訴える「ブレインフォグ」症状を持つ女性の後遺症患者において,酸化ストレスの程度が高く,これらが後遺症のバイオマーカーの1つとして有用であることが明らかになりました。
この研究成果は2025年8月30日付で国際学術雑誌「Antioxidants」に掲載されました。

*詳細はこちらをご覧ください。
 
コロナ後遺症患者における酸化ストレスマーカーの性別,年齢,BMIによる特徴
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ブレインフォグを有するコロナ後遺症女性患者における酸化ストレスマーカーの特徴
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