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2019/10/24お知らせ

岡山大学病院が「CAR-T療法(キムリア®)の治療施設として認定

岡山大学病院(血液・腫瘍内科、小児科)が,中四国で初めてCAR-T細胞療法(キムリア®)の治療施設として認定を受けました(2019年10月23日付)。

【がんと免疫の関係】
私たちの周りには,細菌やウイルスなどの病原体が無数に存在しており,体の中に侵入してきます。また,体の中では,さまざまな部位でがんのもとになる異常細胞が発生することもあります。私たちの体は,病原体やがん細胞など,本来,体の中にあるべきでないものを見つけると,攻撃して排除するという免疫の働きによって守られています。顆粒球,リンパ球,単球などの白血球が,免疫機能の中心的な役割を果たし,リンパ球には,T細胞,B細胞などの種類があります。このうちT細胞は,樹状細胞など他の血球の協力によりがん細胞を見つけて,攻撃をしかけます。
しかし,がん細胞の中には,免疫のしくみから逃れる術をもっているものもあり,完全に死滅させることができない場合,がんを発症すると考えられます。
 
【CAR-T細胞療法とは?】
CAR-T細胞療法は,通常の免疫機能だけでは完全に死滅させることが難しい難治性のがんに対する治療法として開発されました。患者さん自身のT細胞を取り出し,遺伝子医療の技術を用いてCAR(キメラ抗原受容体)と呼ばれる特殊なたんぱく質を作り出すことができるよう,T細胞を改変します。CARは,がん細胞などの表面に発現する特定の抗原を認識し,攻撃するように設計されており,CARを作り出すことができるようになったT細胞をCAR-T細胞と呼びます。このCAR-T細胞を患者さんに投与することにより,難治性のがんを治療するのがCAR-T療法です。
 
【CAR-T細胞療法のプロセス】
CAR-T細胞療法は,高度に個別化された治療法です。次のようなプロセスを,患者さんごとに行います。
1.患者さんの細胞の採取
 患者さんからT細胞を採取します。採取された患者さんのT細胞は,CAR-T細胞の製造施設に送られます。
2.T細胞の改変
 製造施設では,特定の抗原を発現するがん細胞を認識し攻撃するよう,患者さんのT細胞を改変します。
3.細胞の増殖
 改変されたT細胞(CAR-T細胞)は,特定のがんと闘うのに十分な数まで増やされます。
4.品質検査
 CAR-T細胞は,厳しい品質検査を経て,最終製品として患者さんの治療施設に送られます。
5.リンパ球除去化学療法
 患者さんの白血球レベルを下げることで,体がCAR-T細胞を受け入れやすくするために,リンパ球除去化学療法を行います。
6.CAR-T細胞の投与
 CAR-T細胞を患者さんの血液に戻します。CAR-T細胞の投与は1回のみの治療で行われます。
7.がん細胞を攻撃
 CAR-T細胞は,患者さんの体内で特定の抗原を発現するがん細胞に付着して,攻撃をしかけます。

〔出典〕:ノバルティスファーマ CAR-T細胞療法(ホームページ)より
    https://www.novartis.co.jp/innovation/car-t
 
【キムリアについて】
キムリアとは,「キムリア®点滴静注」一般名:チサゲンレクルユーセル(以下キムリア)は,日本で初めてのCAR-T細胞療法に用いる再生医療等製品です。

再生医療等製品は,以下に掲げる製品であって,政令で定めるものをいいます。
(1)人又は動物の細胞に培養等の加工を施したものであって,
イ 身体の構造・機能の再建・修復・形成するもの
ロ 疾病の治療・予防を目的として使用するもの
(2)遺伝子治療を目的として,人の細胞に導入して使用するもの
(医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律 第2条第9項)
 
キムリアを投与できる患者さんは以下の通りです(この他にも条件があります)。
1.CD19陽性B細胞性急性リンパ芽球性白血病(投与時に25歳以下)
〇初発の場合:標準的な化学療法を2回以上施行したが寛解が得られない
〇再発の場合:化学療法を1 回以上施行したが寛解が得られない
〇同種造血幹細胞移植の適応とならない又は同種造血幹細胞移植後に再発した場合

2.CD19陽性B細胞性びまん性大細胞型リンパ腫(自家造血幹細胞移植が行えない、または自家造血幹細胞移植後の再発)
〇初発の場合:化学療法を2回以上施行したが完全奏効が得られない,または完全奏効が得られたが再発した場合
〇再発の場合:再発後に化学療法を1回以上施行したが完全奏効が得られない,または完全奏効が得られたが再発した場合
〇濾胞性リンパ腫が形質転換した場合:通算2 回以上の化学療法を施行し,形質転換後には化学療法を1 回以上施行したが,形質転換後の化学療法により完全奏効が得られなかった又は完全奏効が得られたが再発した場合
 
キムリアの重大な副作用には,下記のようなものがあります(詳細な情報につきましては,別途医師より説明を受けてください)。
(1)高熱,低血圧,呼吸困難,低酸素血症,心不全,肝機能障害などの臨床症状がみられる,サイトカイン放出症候群
(2)脳症,意識障害,錯乱,けいれん発作などの神経症状
(3)敗血症,肺炎などの感染症
(4)低ガンマグロブリン血症
(5)白血球数や,血小板数の減少,貧血
(6)腫瘍崩壊症候群 

キムリアを投与するまでに,下記のようなステップがあります(詳細な情報につきましては,別途医師より説明を受けてください)。
(1)患者さん自身のT細胞を取り出すために,白血球アフェレーシスを行います。白血球アフェレーシスとは,ほしい細胞のみ採取し,残りは体に返しながら,血液を循環させる処置で,4時間程度かかります。
(2)キムリアが製造され,治療を行う病院に届くまで,5~6週間かかります。この間に病状が悪化し,場合によってはキムリアの治療を受けられないこともあり得ます。
(3)キムリアの投与前には,本来もっている自分のリンパ球を減らす目的で,化学療法を行います。
(4)キムリアの投与を行います。
(5)キムリアの投与後は,重篤な副作用が起きる可能性があり,3~4週間は入院の上経過観察を行います。
(6)キムリアの投与後は,車の運転や危険を伴う機械の操作などは,一定期間は原則行うことが禁止されています。


CAR-T療法のためのリンパ球採取(白血球アフェレーシス) 
輸血部採血室で専任のスタッフがチーム医療を行います。

★下記ホームページもご覧ください。
 岡山大学病院 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 血液・腫瘍・呼吸器・アレルギー内科のページ
 http://ninai.med.okayama-u.ac.jp/
 岡山大学病院 血液・腫瘍内科のページ
 https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/index115.html
 岡山大学病院 造血幹細胞移植推進拠点病院のページ
 http://www.hsc.okayama-u.ac.jp/zouketsu/
 
【本件問い合わせ】
<治療に関するご相談>
TEL 086-223-7151(代表)
 患者さんからのご相談は、主治医の先生を通してお受けしています。
※かかりつけの医療機関からの診療情報提供書が必須となります。

<当ホームページ掲載内容について>
藤井(敬):email  keikofujii@okayama-u.ac.jp