2025/10/20プレスリリース
切除可能な膵臓がんに対する術前化学療法で長期生存率が向上
岡山大学病院では,肝・胆・膵外科と消化器内科が連携して膵臓がん治療の合同プロトコールを作成し,これまで集学的治療を行ってきました。今回,岡山大学学術研究院医療開発領域(岡山大学病院)所属の,肝・胆・膵外科の高木弘誠講師,臓器移植医療センター(肝・胆・膵外科)の安井和也助教(特任),光学医療診療部(消化器内科)の松本和幸講師らのグループは,切除可能な膵臓がんに対する術前化学療法(GS療法)の安全性と有効性を検証しました。
これらの研究成果は10月10日,欧州のがん関連研究学術誌「Cancers」に掲載されました。
術前化学療法群では全例が外科切除に臨むことができ,2年全生存率は術前化学療法群で83%,従来の治療法である手術先行群では61%であり,術前化学療法の導入で有意に予後を改善しました。また予後に関連する事項として,「術前化学療法の導入,病理学的リンパ節転移の有無,術後補助療法の完遂」の3つの因子が確認できました。
本研究成果は切除可能膵臓がんに対する術前化学療法の有効性を示したのみならず,合併症の少ない安全な手術と術後補助化学療法の実施の重要性も示しました。今後,さらなる膵臓がん治療成績の改善に役立つことが期待されます。
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